運
ずっと前の話ですが、カミさんと出かけた帰り道、どうも車の調子が良くない。
時々インジケーターに赤いランプが点きます。
嫌な感じだったので、もしもの事を考えて高速に乗らず一般道を走りました。
そしたら、案の定。
走っている途中で、スーッ、とエンジンが切れてしまい、それっきり。
場所は郊外で、時間は確か夜の10時か11時頃。家まではまだ30kmくらいあります。
市内まで車を押して戻ろうか、それとも近くの人家で電話を借りてJAFを頼もうか、
そんなこんなをカミさんと話していました。
携帯?
この話はまだ携帯が普及する前の話です。悪しからず。
そんな時、ふと前方を見ると、遙か彼方に明かりが見えます。
1kmも先の感じですが、道路工事のようです。
工事の人に話せば、もしかしたら助けてもらえるかもしれない!
微かな期待に胸を膨らませながら、カミさんと二人で一生懸命車を押しました。
しばらく車を押して、明かりに近づくと、その明かりは道路工事ではなく
車の事故処理だったのがわかりました。
大きな事故だったらしく、警察の投光器が辺りを昼間のように照らしています。
私たちがそこにたどり着いた時は、ちょうど事故処理も終わったようで片付けが始まっていました。
近くのお巡りさんに、車が故障して困っている旨を話すと、
「あの人車屋さんだから見てもらったら」と紹介されました。
なんと、事故が起きたのは車の修理工場の前で、事故車の移動や運び出しなどに
車屋さんが手伝っていたのだと言う。
この夜中に災難だなー、とも思いましたが、
それより何より、私の車が動かなくなって困っている時に、
しかも、その場所が車屋さんの前で、おまけにこんな夜中に
車屋さんが作業をしているというこの奇跡的な境遇に人為を超えた驚きを感じました。
車屋さんは、「もう、遅いから」と、代車を出してくれて、
カミさんと私は、その代車に乗って無事家に帰ることができました。
私は運が良いというお話でした。