珠算
こんにちは、谷川岳のもつ煮、竹内です。
前回、簿記のことを書いていて思い出した事があります。
私の先輩で日商簿記1級を取った(高校時代です)先輩がいるのですが、
その先輩はなぜか日商簿記1級の事を話しません。その代わりに 「俺は珠算2段だ」 と
ソロバンの自慢をします。
その先輩は高校の入学式の日、珠算部の先生から、「ぜひ珠算部へ入ってくれ」 と
スカウトされ最後は珠算部の部長にまでなりました。
しかし、人生は山あり谷あり、先輩は3年生の時部長の身でありながら顧問の先生から
「頼むから珠算部を辞めてくれ」 と愛想を尽かされます。理由は簡単、部活に出ない
からです。
ところがその後、先輩は相変わらず部活には顔を出さないものの珠算の関東大会で
大健闘。入賞順位にまで上り詰めたそうです。
珠算の大会というのは、ずらーと机が何列にも並ぶ中、計算を間違えた人が
消えていく方式だそうで、最後には居並ぶ机の最前列に残る者で競技が争われる
のだそうです。
先輩は机の最前列に残りました。こんな事は学校が始まって以来の出来事で
顧問の先生はじめ生徒も皆固唾をのんで見守っていたそうです。
結果は優勝こそ出来なかったものの先輩の学校にとっては快挙に等しい大金星、
大戦果です。顧問の先生は先輩を捕まえて 「お前はやってくれると思っていた」 と
満座の中何度も先輩の肩を叩いていたそうです。
その時に先輩は 「大人の社会というものを学んだ」 と述懐しております。
ドラフトで入団した選手にもありそうな話ですね。全ては結果ということですか。
ある時、私はその先輩へなぜ日商簿記1級の事を話さずに珠算2段の話を
するのかと尋ねた事があります。日商簿記1級といえばそれだけで推薦入学できる
大学だってあるくらい高度な資格だからです。
ですが先輩は、 「日商簿記1級は簡単だったから自慢する気にもならない。俺に
とっては珠算の方が難しい」 と話されました。
その先輩、未だに珠算の話はしますが簿記の話はしません。
人により価値観が違うというお話でした。