学生時代の延長 2
学生時代の友人Tで思い出した事があります。
ある夜、Tから電話がかかってきました。
Tと私の電話のやりとりを見ていた子供たちはその時から大学に行きたいと
考えるようになりました。
そう、あれは5年前だか10年前だか忘れましたが、それくらい前のある夜、
夜といっても夜中の12時頃の話です。そんな時間に私の携帯が鳴りました。
着信は学生時代の悪友Tと出ていました。
受話器の向こうから陽気なTの声が、
T 「おう竹内! 俺だ俺だ。今新宿にいるんだ。お前も来い!」
私 「お前何時だと思ってるんだ。今から行ける訳ないだろ」
T 「あほー、SもYもこれから来るんやぞー!お前も来い!」
Sとは練馬の後輩、Yは福島の悪友です。
Yは旅行代理店に勤めているのでツアーか何かで東京にいる事もあり得ますが
Sがのこのこ練馬からこの時間に新宿に出てくるとは思えません。
Tの酔った上でのホラと読んだ私は、「みんなが集まったら連絡をくれ」
と携帯を切りました。これで一件落着と思ったのですが1時間後にまた携帯が鳴り、
S 「竹内さんご無沙汰してますSです。頼みますから新宿に来てくださいよー。
TさんとYさんが竹内を呼べってうるさいんですよー」
私 「えっ?お前本当に練馬から来たの?」
S 「そうですよ。だってTさんが来い来いってうるさいんだもん」
受話器の向こうでTとYが、「うるさいとは何だ!久しぶりに俺たちと会えて
嬉しいだろ!」と叫んでいるのが聞こえます。
私 「Yもいるのか?」
やはりYは出張で東京に来ていたようです。Tは関西人ですがその日新宿で会議があり、
東京へ行くならと昔の仲間に連絡をとったようです。
もう夜中の1時を過ぎてます。私は水上にいます。今からなんて新宿に行けません。
第一もう眠いんです。新宿には行けない、と話して携帯を切りました。
でも、10分おきくらいに携帯が鳴ります。最初は携帯を取りましたが
いい加減眠くなって電源を切りました。今度こそ一件落着。
そしたら奴等今度は家の電話にかけてきました。学生時代の延長です。
T 「竹内、お前付き合い悪いぞ!」 悪いのは私じゃありません。
何度も何度もかけてくるのでもう受話器を取るのをやめてジャックを抜いておきました。
でも、子供たちはそのやりとりを見ていてとても興味を持ったようでした。
子供 「パパは誰と電話してるの?」
妻 「パパの大学の時のお友達。大学に行くとねー、色々なお友達ができるの」
子供 「ふーん」
今から新宿になんか行けない、と電話している時に私の後ろでカミさんと子供が
そんな話をしているのが聞こえていました。
どうも子供の頭には ”大学ってこんな世界なんだ” と
間違った情報がインプットされたようです。
その一件以来、子供たちは大学に行きたいと言うようになりました。